鬼は内

今週のお題「鬼」

むか~しむかし、子供の頃昼に家にいるとテレビで「鬼嫁」とか「鬼姑」とか言ってるのをよく聞きました。
まだ子供といえども女の子。
女同士のドロドロには興味津々で、嫁姑の諍いの再現性VTRにはジッと見入ったものでした。
姑が語る嫁は常に酷い意地悪ばかりしてくる乱暴な鬼嫁で、嫁が語る姑は必ず威張り散らしてイビリ倒してくる鬼姑。
大人の世界って怖い。
鬼だらけなのねってビビったものです。
こうして私は大人になることを恐れ始めたのでした。
なにかこういう、鬼たちのドロドロとした恨みと憎しみと闘いの空気は、時々覗き込みたくなる妙な魅力がありますね。
そういうときは掲示板を覗き見るのです。
すると、何らかのストレスに取り憑かれてるらしい人が毒を吐き散らしている様子が見られる。
痛ましいような凄惨な様子は、鬼というのに相応しい。
見たから何というわけではないのですが、つい覗き込みたくなるのです。
一体こういう、凄惨な鬼の姿を見たい。ドロドロした話がたまに聞きたくなる。というのはどうしたことなのか。
何となく、鬼の恐ろしくも醜い様子に魅入っているとき、私自身のどこかに潜んでいる鬼が、イキイキと存在を主張しだすような感覚があります。
それは、どこか愛おしいような何かなのです。
鬼は外ではなく内にいる。
ああ、確かにここにいる。
そんな感覚が湧き上がります。
そしてそれは少し気持ちがいい。
私にとって、鬼とはそのようなものです。