一年

去年、コロナで閉じこもっていた頃から一年。
久しぶりに、一年前に、家族で毎日散歩していた道を夫婦で歩いた。
楽しかった。
いつもと同じように、ありが巣を広げている。砂をかけて巣の入り口を塞いでやったら、慌てふためいていた。
やっぱり蟻をちょっとだけいじめるのは面白い。
毎年必ず一度はいじめることにしている。
今年のノルマは達成。
いじめると言っても、あまりひどすぎることはしたくない。
蟻を蟻地獄に落とすのは、やったことはあるけれど流石に罪悪感を感じる。食べられてしまうんだもん。入り口を塞いでやるくらいがいい。
フラフラ歩いていたら、草むらでは、イネ科の草が、春の草を追い越して、夏に向けて背を伸ばしていた。
夏が楽しみなような、春を惜しむような、単純に澄みきらない気分になった。
桜の木は、子どもたちが遊びやすそうな大きな木陰を作っていた。
だいたい、いつもと同じように季節は進んでいて、様子が変なのは世間だけ。
そういうのも、いつも通りと言えばいつも通りか。
公園は、いつもなら生えていない草が生えていた。
子供がよく遊ぶ公園は、草が生えにくい。
そこが活きている公園なのか、ただの寂れた施設なのかは草の様子で見当がつく。
多分、近隣の子どもたちが外遊びを控えてるんだろう。コロナだから。
そういうのも、世間の変化かなと思った。
ベンチで羊羹を食べて、お茶を飲んだ。
一年前よりもコロナ感染は広がっている。
でも一年前よりものどかな散歩だった。