いつか立派な木になる

夏あたりから、木になりたいと思い始めていた。

地球温暖化のせいなんだろうか。酸素不足をヒシヒシと感じたんだろうか。

なぜかはわからないけれど、心に決めた。

私は木になる。木になるんだ。

茶色のスカートをはいて、緑色のTシャツを着ようか。開襟シャツもいいな。秋になれば、茶色のズボンを持っているからそれと合わせてオレンジのセーターなんか着れば、紅葉した木になれるなぁ。

そんなことを考えて、ネットで洋服探しを続けてきた。

家族はなぜだか大反対。木になってはいけない。そんなの駄目だ。そんな服良くない。そんな考えはおかしい。と止めてきた。

いったい、木の何が悪いというのか、そして人のする格好にどうしてそんなに意見したいのだかわからない。露出するわけでも不潔な格好をするわけでもないのだし、放っておいて欲しいものだ。

私は気にせず探し続け、やっとこの秋から着られそうな緑とオレンジのセーターを買った。

これを来てこの秋私は木になる。紅葉もする。

きっと、毎日充実するだろう。

傍から見たら、あそこの奥さん最近オレンジと緑ばっかり着てるわね。マイブームかしらね。くらいにしか思われなさそう。