レモンババロア

母が昔よく、レモンババロアを作ってくれた。

ホイップクリームと砂糖とレモンとゼラチンで作っていたと思う。

オシャレな模様の入った脚付きのグラスにたっぷり注いで冷やし固めた爽やかなレモンの香りのババロアは、乙女心と食欲をおおいに刺激した。

アレが食べたいなーとゼライスを買い、ポッカレモンを買い、後はXデーに生クリームと本物のレモンを買うだけというところまでは夏の間に実行した。

計画はそこで止まったまま、Xデーより先に焼き芋シーズンが到来。

レンジ任せで簡単に出来るものだから、地元農家さんの細い芋袋詰を買ってきては、つい焼き芋にしてしまう。やっぱりうまい。

いや、作って食べるのは芋じゃなくて乙女なレモンババロアだったはず。

夏は毎回何か寂しい心残りを残して終わるものだけれど、今年の夏の心残りはレモンババロアだった。

レモンは一年中うってるし、レモンババロアは夏じゃなくても美味しいはず。ゼライスの箱を目にするたび、そういえば私は今でもXデーの到来を待ってるんだったと思い出す。

ポッカレモンは、思い切りぐるぐるかき混ぜてトロトロ食感にしたヨーグルトにふりかけて食べている。レモンヨーグルトも最高なんである。