先輩について

人間は一番最初に肛門からできるらしい。
それから管が伸びて、口が出来る。
順番からすると、口は偉そうに御託を並べているけれど、肛門のほうが先輩なのである。

先輩はなんの文句も言わず、ただ自分の職務を果たしている。
でも時々、都合の悪いタイムングでぷうっと言うのは先輩のちょっとした反逆行為なのかもしれない。
そんなときの先輩は、止めようとしても止まらずに、連続で困った反逆を繰り返す。
もう縁を切りたいと切に願うも、先輩とは切っても切れない自分なのである。

先輩のいない生活を夢想する。

いや、それ、むっちゃ痛そうだし。

こうして、先輩との共同生活を続けるのである。

何故先輩が先輩で後輩では無いのか。なんてふと思いつく。
多分先輩が後輩だったら、体内に何か入ったら入りっぱなしでだんだん膨れて破裂しちゃうからである。
口はなにかともぐもぐしちゃうし、止めたって止まらないだろう。まだ完成していない胃袋に食べ物を送られたって困るからである。
と思うけど、本当のことは知らない。

先輩は自分じゃ姿を見ることができず、神秘のベールに包まれている。
きっと私の先輩は美しいのに違いない。
七色に光り輝いてるに決まってる。
絶対みんなのとは違うのだ。
大事にしよう。
そう思った。