海の夢をみる

今週のお題「海」

海を見れば、
「海だ!」
「海が見えた!」
と叫んでしまう。
内陸で生まれ育つとそうなるんだろう。
たまにしか見ない海は、簡単に、子供の頃の海への憧れの気持ちを表に引き出してしまう。
そのトキメキは大人になっても消えない。

海は私にとって重要な何かだ。

いつか、ひなびた海辺の町で、小さな小屋に住んで、日がな一日潮の満ち干を眺めて暮らしてみたい。
日が登って、沈んで、波は絶え間なく寄せて、ゴロゴロと小石のぶつかる音がやまない。
仕事に疲れれば、そんな想像をよくする。
一匹のヤドカリになって、波にもまれていたい、とも。
大きな波に飲まれれば、泡で視界がいっぱいになる。私は潮臭い水と一緒に目を回す。
水が耳でごぼごぼと鳴る。

私の海は、穏やかで、激しく、誰もいない。
それで私は、眠る前に、海の夢を見る。