チャンネル権の後悔

チャンネル権というのは家庭内の地位を表していると思う。

子供の頃、実家では私にチャンネル権はなかった。絶大な強権を握っていたのは母だ。
今もそう。
耳が遠くなった母はすごいデカイ音でテレビを見る。
そして、お前の声は小さくて聞こえないと言う。
テレビを消したらもっと話し声が聞きやすいよと言っても、それは絶対に嫌みたいで消さない。
何故だろう。
誰もいないリビングでも、テレビはずっとつけて置きたいらしく
誰も見てないからと思ってテレビを消したり、チャンネルを変えたり、音量を変えたりすると、怒られる。
なぜだかはわからない。
「老いては子に従え」
ということわざを思い出す。
諺になるくらいなので、ミンナよっぽど老いたとき子に従うのは難しいんだろう。もうずっと大昔から。
老人は言うこと聞かないのが世の常なんだな。

で、チャンネル権。
今も私にそんなものはない。
夫が強権を握っている。
次が子供である。
私の地位は相変わらず低い。
こうして低い地位に甘んじてしまうのはきっと、子供時代の実家での私の扱いに問題があったに違いない。恨めしい。あと、性格。

チャンネル権は、やっぱり子供時代に争っておいた方が良かった。