好みのタイプのおはなし3 見るなの座敷

何の話が一等好きかしら、と考えてみて、ふと浮上してきたのは

見るなの座敷

でした

こんな話。
男が山奥で道に迷う。山を彷徨っていると、山中に屋敷を見つける。困っていた男は一晩泊めてほしいと願う。すると快く招き入れられる。屋敷には美しい女が一人で住んでいて、男をもてなしてくれる。しばらくすると女は、用があるからとでかけてしまう。男はその間の留守を頼まれるが、13ある座敷のうち、12は自由に見て回って良いが、一つだけは決して見るなと言われる。男は12の座敷を見て回る。いずれも、ふしぎな光景の広がる美しい部屋だった。我慢できなくなった男は、見るなと言われた座敷の扉を開けてしまう。そこにはうぐいすが鳴いていて、男が座敷を開けると逃げて行ってしまった。するととたんに屋敷も消えてしまい、男は山中にぼうぜんと立ちつくすのだった。

こういう、なんだかよくわからないものの話がワタシの好みのど真ん中です。


なんだかよくわからないものは、人の気配もない山奥に、ふと、そこにあるのですが、それはそれは美しく魅惑的なのですが、扉を開けて見てしまうと逃げるのです。
あったという気配だけ残して消えている。

こういう、この世ならざるなんだかよくわからないものの話がいいですね。