どろろ感想 真実はいつも一つ

アニメどろろを観ました。

終わりまでみました。
以下、やっぱり仕方がない考え事です。


見終わって、何やら落ち着かない気分がして仕方ありませんでした。

本当にこれはこういう話なのか。
これで合ってるのか。

モヤモヤと違和感があって、どうにもしっくりこない。腑に落ちない。
何かがおかしい気がする。
直感が、良く考えろと告げてくる。

人の話を聞いてそう感じるときは、やはりどこかに隠し事があるものです。

この物語には、何らかの秘密があるのだという前提で、どろろの話を振り返ってみることにしました。


1 協力者琵琶丸

物語の語り手は、琵琶丸というかたちをとっています。彼は何者なのでしょうか。傍観者という立場を決め込んでいましたが、話中、どこにでも、都合のいいときに現れていました。

物語に何か隠されたものがあるのならば、語り手である彼もまた、その隠し事に関係している、ないしは協力関係にあるのだと思います。

 

2 秘密は誰のものか

隠したい秘密をもっているのは誰なのか。
タイトルはどろろでした。では、この物語はどろろについての物語だったでしょうか。
違います。
物語を通じて、どろろは特に苦しみも味合わず、さほど成長もしていません。己の殻も枠組みも微動だにしませんでした。常に物語世界の中心近くにいて、タイトルにまで冠されながら、です。
私達の前に広げられていく物語の骨格は、百鬼丸の方にありました。描かれていたのは、醍醐家という機能不全家族で虐げられてきた百鬼丸少年が、苦しみつつも家族と向き合い、自立に至る物語だったと思います。物語らしい物語でした。まるで彼が主役のようなお話でした。
そしてずっと彼の傍らにあって、健気に、献身的に彼を支え、ときには方向づけもして、百鬼丸少年を前へと推し進めてきたのはどろろです。
この物語を生きていたのは百鬼丸少年でした。が、目立たぬように、この物語を推し進めていたのはどろろでした。自分に注意が向かないよう。百鬼丸の方へ、皆の目をそらそうとしているかのようでした。
言及の少ないところにこそ秘密は隠れているはずです。
どろろには何か秘密がある。
そもそも彼女には、


性別
背中の入れ墨


という2つの秘密がありました。
この2つだけではすまない、もっと大きな秘密があるのかもしれない。
そういうつもりで、物語を振り返ってみます。


3 隠し事の匂いのする場所

物語の中で、隠し事のありそうな臭い部分はどこなのか、考えてみます。
この物語には、たくさんの妖が出てきました。物語だから、妖が現れて当たり前というわけではありません。この世のすべての物語に妖が出てくるわけではないのです。妖は、物語がそれを必要とする場合にのみその物語に現れます。お話に出てくる妖には、出てくる意味があるはずです。
そのへんは、夜見る夢と同じです。急に妖なんて現れない。現れるには、現れるだけの意味ないしは必要がある。
この物語では、どうだったでしょうか。
物語の骨格は、壊れた家族の間で苦しんだ、百鬼丸少年の心の戦いと成長でした。こういう話の、どこに妖が必要なのか。物語は妖を必要としていません。なくても語れる話です。物語に妖という要素を取り込む為に、仕方がないから醍醐景光に鬼神と契約させた。そう言ってもいいくらい、妖に存在感がありませんでした。
では、不要なものが何故語られていたのか。

煙幕。言い換え。

妖の出てくる場面のどこかに、何かを隠しているはずです。


4 鬼神との契約と欠損

鬼神との約定で百鬼丸は身体の12箇所の部分を奪われたということになっていました。では、鬼神がいなかったとしたら、百鬼丸は普通の人だったのでしょうか。

おそらくですが、私は百鬼丸少年はどこかに障害がある少年だった。それは多分目だったのではないか、と思っています。

目が戻るのは、物語の最後でした。そして目がもどった百鬼丸少年は、物語世界から早々に消えてしまいました。まるで多くは語りたくはないとでも言うように。

百鬼丸は盲目の少年だった。

ここでは、そうだったと言うことで話を進めます。


5 特殊な妖

出てきた妖の中で、他と違うものはどれでしょうか。

人型をしていて人語を解する万代、マイマイオンバ。

唯一名前が出なかった鬼神である、12番目の鬼神。

2回に渡って闘った蟻地獄。

途中まではただのサメだったはずの二郎丸。

この辺りの妖が、何か特殊な感じがします。


万代とマイマイオンバ


万代では、旅人を生贄に妖に捧げ、人々は富を得ていました。

鯖目では、身寄りのない子供たちや旅人を生贄に妖に捧げ、人々は富を得ていました

この二つの話には、人が妖を利用しようとする、という共通点がありました。それは醍醐が鬼神と約定を交わした話とも共通します。

妖と人とは取引関係を結ぶことができるという事を補強する為の話だと考えてもいいと思います。

けれどコレを事実だったと考えるなら。

妖がいなかったとしたら、どんな話になるのか。

万代では、旅人を村人が襲い、殺害して金品を奪いとって暮らしていたという話になります。この村を訪れた百鬼丸たちは、妖ではなく、襲ってきた村人を撃退し、金の在り処を突き止めた。突き止めただけでは無かったものと思われます。

鯖目では、里人が旅人を襲い、金品を奪い取る。またかつては寺に集められていた、身寄りのない子どもたちを殺害して寺を燃やしていた。子どもたちには奪いとるべき金品など無かったでしょうから、人身売買があったか、飢饉にみまわれたときに、食料とされたか。妖の所業としたくなるような何かをしたのです。この里でどろろは、蔵に侵入します。そして油を撒き火をつけました。そこでどろろは、子どもたちの霊に助けられました。助けられたのはどろろだったのでしょうか。山中の怪しい蔵には、米と油とマイマイオンバの子どもたちが隠されていました。ほんとうにマイマイオンバの子どもたちだったのか。子どもたちが犠牲になっていたのは、過去だけのことだったのか。どろろは何故、火をつけたのか。火をつけたことで、里人は皆、蔵の前に集まりました。やぐらにも火をつけていたから、見張りも出来なくなっています。火災のドサクサに紛れて、監禁されていた子どもたちを逃がした。こんな風にも考えられると思いました。


寺の子供たち


鯖目の里でおきたこと。

寺にいた身寄りのない子どもたちが殺害され、寺が燃やされました。

同じような出来事は、他にもありました。蟻地獄回です。ここでは珍しく2回に渡って妖と戦いました。そしてミオとの交流が描かれた。描かれた事は煙幕なのですから、詳しくは描かれなかったことを見てみます。寺に集められた子供たちと、その殺害、寺の炎上です。鯖目であったのと、同じことがあったのでしょう。ここで子供たちを搾取していたのは、醍醐のサムライでした。

度重なる飢饉の中で、人々は、どう生き延びていたのか。

寺は燃やされ、関わっていたミオも殺され、証拠は消されました。


二郎丸

この鬼神は不自然でした。途中まではただのサメだったはずです。けれど途中から鬼神となり、足を持つことになった。

このとき、イタチにさらわれたどろろが、父が集めた金品をイタチとともに見つけました。攫われて無理に協力させられた、というからには、多分逆に積極的だったのでしょう。多宝丸たち醍醐の勢力は不知火という鬼神の仲間だった少年が、爆弾によって退けたことにされていました。宝探しに関係のない2つの勢力は、話の本質とは関係ありません。無視して構わないでしょう。

多宝丸は来なかった。

不知火はいなかった。

二郎丸はいなかった。

気になるのは、二郎丸の途中からの鬼神へのすり替わりです。作中、同じように、途中からすり替わったことが疑われる人物がいます。

どろろです。

どろろはいつから女だったのか?

どろろの両親は、どろろを男の子として育てていました。であればどろろは、素直に男の子だったと思っていいと思います。けれど現在、どろろは女です。どこかで人間がすり替わったからではないのか。

どろろについては、年齢も明かされていません。年端もいかない女のコ。おっかちゃんを恋しがるなどとってつけたように語られていましたが、その言動は年齢以上に聡く、幼さを感じる事はありませんでした。

思うのですが、百鬼丸少年が盲目だったとして、どろろが小柄な女性であったとするならば、年齢をごまかし、子供のふりをすることもできたかもしれない。

背中の入れ墨も実に怪しい。温めなければ見えない。これは、本来ない入れ墨をあると言うための言い訳にも聞こえます。盲目の百鬼丸には確かめようもない。

どろろの父の財宝のありかを知っていて、探したがっていたのはイタチでした。最後にどろろ親子と会ったのもいたちです。どろろ親子が死亡したとき、どろろに成り代わったのは、イタチだったのではないでしょうか。イタチは、実は女性だったのです。

不知火の回にはそんな秘密が描かれている。

そのように思われてなりません。

そして最後に、財宝をそのままにどろろは島を去ります。隠しもせずにです。

財宝は、実はここには無かった。そういう意味だったのだと思いました。

この話からは、

イタチ=どろろ=女性

ということを読み取っておけばよいのではないかと思います。


12体目の鬼神


12体目の鬼神は、名前も判明していません。他の鬼神の持っていたはずの部位を奪ったりと大活躍でしたが、その最後はあっけないものでした。

この話で、最後に残った事実は何だったでしょうか。

多宝丸死亡。

縫死亡。

樹海死亡。

どろろと百鬼丸は城に入り、生きて城から出る。

城は炎上して消失しました。

そしてこの後、どろろは、金ならあると公言し始めます。


その金はどこから得たのか。

浅倉軍が攻め寄せ、対応に追われているタイミングを見計らい、どろろと百鬼丸で城に押しいった。そして多宝丸、縫を殺害。そもそも存在していなかった寿海はここ死亡したことにする。

城の地下に隠されていた宝物を奪い、火をつけて逃げた。


この話の真相はそういうことだったのかもしれない。





後日文章のおかしいところは黙って勝手に修正加筆します。

誰も読まないと思うのですが、一応。

ここ迄読んだ人、読んで下さりありがとうございます。楽しんでもらえてたら良いのですが。

私は、物思いにふけってて、まあまあ楽しかったです。最後は書くのが疲れてしまいましたが。

私もあなたも、これからも、楽しいことがいっぱいあるといいですね。